第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 受賞者の決定について
「人を大切にする経営学会」(会長:坂本光司(法政大学大学院教授))・「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞実行委員会(実行委員長:清成忠男(元法政大学総長))が主催する第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の受賞者を以下のとおり決定しました。
受賞企業一覧
経済産業大臣賞 | TOTO株式会社 |
厚生労働大臣賞 | 学校法人 柿の実学園 柿の実幼稚園 |
中小企業庁長官賞 | コーケン工業株式会社 |
実行委員長賞 | 新日本製薬株式会社 |
審査委員会特別賞 |
株式会社アポロガス 三和建設株式会社 スズキ機工株式会社 ゾーホージャパン株式会社 有限会社ツマガリ 株式会社特殊衣料 株式会社ネオレックス 武州工業株式会社 株式会社ベル |
実行委員会特別賞 |
株式会社ウェルテクノス 株式会社ツバサ・翼学院グループ 社会福祉法人実誠会 障害者支援施設なるみ園 社会福祉法人太陽会 |
経済産業大臣賞
企業名:TOTO株式会社
所在地:福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
業種 :住宅設備機器、福祉機器、環境建材などの製造・販売
社員数:6,653
設立 :1917年
受賞理由:
1)過去5年間の平均離職率が極めて低く、約1%である。
2)TOTOグループ全体では、障がい者社員304名のうち、約半数が重度障がい者と精神障がい者であり、TOTO本体では、3名を除き、全員正社員である。
3)有給休暇の平均取得率は76.1%、社員の平均年収は業界平均と比べて極めて高い。
4)TOTOが行政と協同し取り組んできた関連会社サンアクアTOTOは、三セクの数少ない成功事例である。
5)取引先をパートナー企業として評価・位置づけし、ほぼ全額現金決済や公正妥当な取引をしている。
厚生労働大臣賞
企業名:学校法人 柿の実学園 柿の実幼稚園
所在地:神奈川県川崎市麻生区上麻生7-41-1
業種 :幼稚園、特別支援教育、児童の体験活動、母親・父親の子育て支援活動
社員数:約220名
設立 :1962年
受賞理由:
1)約1600名の園児を38クラスの完全縦割にて保育しており、内約300名が障がい児であり、重度の障がい児を優先的に入園させている。
2)障がい児の特別クラスを設けず、障がい児一人に対して専属の有資格の非常勤を1~3名配置し、看護師や介護福祉士も常駐させている。
3)職員の大半は、同園に通った園児の保護者である。
4)10名弱の高齢者(65歳以上)の職員が元気で働いている。
5)ライフワークに合わせた柔軟な働き方ができ、職員の定着率が極めて高い。女性管理職比率も90.9%と非常に高い。
6)小島園長は、37年に渡り毎朝8時~10時登園する園児一人一人を門で迎え入れ挨拶を継続している。
中小企業庁長官賞
企業名:コーケン工業株式会社
所在地:静岡県磐田市飛平松214-1
業種 :ディーゼルエンジン用燃料噴射管、各種パイプの製造販売
社員数:224
設立 :1971年
受賞理由:
1)定年制を設けず66歳以上の高齢者が全体の16.7%、その定着率も高い。
2)10代から80代の社員(最高齢87歳)がまるで家族のように助け合いながら働く
3)障がい者雇用率は4.87%と法定雇用率を大きく上回っている。
4)重度、精神等雇用が難しい障がい者を正社員で雇用し、健常者と同様の給与を払っている。
5)正社員一人当たりの賃金は、業界・地域の同業と比べて高い。
実行委員長賞
企業名:新日本製薬株式会社
所在地:福岡市中央区大手門1丁目4-7
業種 :化粧品・健康食品・医薬品の製造販売業及び通信販売事業、店舗販売事業。 薬用植物の栽培研究事業。
社員数:677
設立 :1992年
受賞理由:
1)利益の一部を熊本や東日本大震災復興に、カンボジアの小学校の建て替物資支援など、会社を挙げてのボランティアに励んでいる。
2)重度軽度を問わず、障がい者を正社員雇用し、最低賃金以上の給料を払っている。
3)美しい社員食堂では管理栄養士がカロリー計算し、社員の健康促進に取り組んでいる。
4)社員教育に熱心であり、所定内において5%以上の時間を教育訓練に充てている。
5)地域イベント「博多どんたく港まつり」や「大分国際車いすマラソン大会」、「飲酒運転撲滅運動ボランティア」等に積極的に参加するなど、地域活性化に貢献している。
審査委員会特別賞
企業名:株式会社アポロガス
所在地:福島県福島市飯坂町八景6-17
業種 :LPガス販売・メンテナンス、給湯器・灯油・重油の販売、介護用品のレンタル・販売
、太陽光発電システム、各種リフォーム増改築・新築事業、水まわり事業
社員数:38
設立 :1971年
受賞理由:
1)原発事故後、住民が一人でも残っている限り、地域のインフラを守るために、事業継続を続ける姿勢で経営している。
2)社員を主役に自分達で考えて実践する人財教育を行っている。
3)難病の子供たちに対する慰問、養護学校へのサンタ訪問等、社会的弱者に対する社会貢献のレベルが高い。
4)40年前に自社の記事を書いてくれた地方新聞に「40年ぶりの恩返し」として全面広告を掲載するなど、恩義を忘れない。
審査委員会特別賞
企業名:三和建設株式会社
所在地: 大阪府大阪市淀川区木川西2-2-5
業種 :総合建設業
社員数:110
設立 :1947年
受賞理由:
1)日報の全社員への公開性により、常に情報が共有され経営指針の手帳が理念から方針まで共有される仕組みが優れている。
2)社内大学アカデミーを 定期的開催(社内講師45名)人財育成を実施している。
3)日本で一番社員の対応が気持ちいいゼネコン、協力会社を大切にする方針等を全社員共有して、絶えず、意識化させている。
4)食品工場の提案が受け入れられ、銀行などからの紹介で毎年新規で100億円近くの受注をしている。
5)瑕疵担保責任が終了した工事であっても、自社物件であれば、無償で行うなど、信用を重視した経営を実践している。
6)正社員比率が極めて高い(96%)
審査委員会特別賞
企業名:スズキ機工株式会社
所在地:千葉県松戸市松飛台316-3
業種 :産業用自動機械の設計・制作 、 自社ブランド製品の開発・製造・販売
社員数:16
設立 :1976年
受賞理由:
1)他に借り手があるにも関わらず、社員の合意で自社工場を低廉な料金で授産施設に提供している。
2)自社製品のシール貼り1枚30円で発注他、授産施設に経営指導を行い、障がい者及び授産施設の自立支援している。
3)全員正社員で運営し、労働時間の教育訓練機会も5%以上を設ける等、人の成長を大切にしている。
4)厳しい大手食品会社の要望に応える高いソリューションを提案するだけでなく新製品開発により潤滑剤ベルハンマーが売上50%に達する等、企業革新をしている。
審査委員会特別賞
企業名:ゾーホージャパン株式会社
所在地:神奈川県 横浜市西区みなとみらい3-6-1みなとみらいセンタービル13階
業種 :ネットワーク管理関連ツール、企業向けIT運用管理ツール、企業向けクラウドサービスの日本市場への導入とサポート、コンサルティング事業を展開するソフトウェア企業。
社員数:53
設立 :2001年
受賞理由:
1)「人の役に立ち、人と喜びを分かちあう」の経営理念に則り、雇用待遇面、障がい者や高齢者雇用面、社会貢献性等、人を大切にした経営を行っている
2)社員数が50名以下で法定雇用の義務はない中、雇用が難しいと言われる重度や精神の障がい者雇用を行っている。
3)正社員比率が94%と高い
4)在宅ワークやフレックス制導入などにより、障がい者、育児休業者も継続して働ける環境づくりを進めており定着率が高い。
5)経営状況について常に全社員と共有化できるような仕組みである。
審査委員会特別賞
企業名:有限会社ツマガリ
所在地:兵庫県西宮市甲陽園本庄町
業種 :菓子販売
社員数:90
設立 :1987年
受賞理由:
1)空き店舗が出ると、積極的に賃借しており、地域の街並みが「ツマガリ通り」と呼ばれるなど、地域貢献に熱心である。
2)お客様からの意見を嫌がるどころかありがたいと受け止め、菓子の改良に活かしている。
3)障がい者の雇用に熱心に取り組み、例え、トラブルになったとしても障がい者をカバーして雇用を継続している。
4)育成した社員の独立支援を行う等、人の幸せを基軸で判断している。
5)本物に徹底的にこだわった商品づくりをしており中小企業のモデルである。
審査委員会特別賞
企業名:株式会社特殊衣料
所在地:北海道札幌市西区発寒14条14丁目2-40
業種 :リネンサプライ業、清掃請負業、福祉用具企画製造販売
社員数:177
設立 :1979年
受賞理由:
1)27名の障がい者雇用、内19名が正社員として雇用している。
2)高齢者を大切にして174名中、60歳以上の社員39名を雇用している。
3)アートが好きな障がい者のために自己実現の場をつくる努力をしている。
4)現2代目社長は、パート出身であるなど、全ての人にチャレンジの機会を設けている。
5)工場・事務所・トイレなど会社全体がバリアフリーになっている。
審査委員会特別賞
企業名:株式会社ネオレックス
所在地:名古屋市熱田区伝馬1丁目4-25
業種 :独自システム・アプリケーションの企画・設計・開発・販売
社員数:27
設立 :1987年
受賞理由:
1)独自の住宅・家族手当を導入し、最高では年間222万円もの手当てを支給する等、社員に手厚い待遇を実現している。
2)全社員24名が正社員であり、且つ、重度障がい者1名雇用し、正社員と同様の処遇にしている。
3)小規模のソフトウエア開発会社でありながら、高付加価値のシステムにより、社員に業界平均を上回る報酬を実現している。
審査委員会特別賞
企業名:武州工業株式会社
所在地:東京都青梅市末広町1-2-3
業種 :自動車用金属加工部品、 板金、プレス、樹脂加工、 自動制御機械製作、 医療・介護機器製作
社員数:160
設立 :1952年
受賞理由:
1)中期計画に従業員満足度を上げる事を掲げ「経常利益の半分を賞与として従業員と折半する」ことを明示している。
2)159名中147名と 正社員比率が93.7%と高い。
3)社内に業務以外の自主学習ができる場を設置。教育訓練時間も総労働時間の5%を超えるなど、人財育成に力を入れている。
4)障がい者雇用率は3.7%。自立生活支援センターとの協力関係により、雇用が難しいと言われる重度障がい者を雇用し、健常者と同様の雇用形態を継続している。地域のろう重複者生活就労施設との清掃契約を継続して行っている。
審査委員会特別賞
企業名:株式会社ベル
所在地:大阪府東大阪市吉田下島14-7
業種 :清掃管理、 衛生管理、 レンタル事業、 リフォーム、 警備業務、 鳩対策施工サービス
社員数:168
設立 :1992年
受賞理由:
1)愛と感動のビルメンテナンスをキーワードにした人を大切にした経営を実施している。
2)社員持ち株制度の導入。教育訓練は、勤務時間10%程度かけている。
3)転職的離職率が実質ゼロである。
実行委員会特別賞
企業名:株式会社ウェルテクノス
所在地:岐阜県大垣市歩行町2-57-1 カーニープレイス大垣ビル3階
業種 :コンピュ-タシステム開発、障がい者(雇用)支援
社員数:13
設立 :2006年
受賞理由:
1)創業社長服部義典氏(昨年12月永眠)は、心臓を始めとする臓器がすべて逆、先天性の身体障害者手帳1種1級の重度障害者。自ら障がい者中心の会社を設立し、10年以上に渡り障がい者雇用創出に尽力してきた。
2)農業が好きな障がい者の自己実現のために、農業事業をスタートさせた。
実行委員会特別賞
企業名:株式会社ツバサ・翼学院グループ
所在地:東京都葛飾区高砂8-28-12
業種 :
(1)児童発達支援・放課後等デイサービス部門での社会生活技能トレーニング
(2)学習塾部門での学習指導
(3)NHK学園高校連携教育相談センター(日本で唯一)としての高卒サポート
(4)地域企業での職業訓練を通じた指導を、グループ内事業の連携で多面的に行う。また未就学・児童段階から卒業・就職まで、長期継続的にサービス提供を行う。
社員数:32
設立 :2008年
受賞理由:
1)発達障がいを抱える子供の支援のためのソーシャルスキルトレーニングや学習指導を、未就学児童から高校卒業後の人など幅広い人を対象に実施している。
2)障がい児に独自の教育手法を開発し、2~1人の児童に対して1人の先生が手厚い授業を行っている。
3)障がい児の教育を行うだけでなく、実際に障がい者雇用を積極的に行い、最低賃金以上の賃金を支払っている。
4)事業は地域から信頼を受け、着実に拡大している。
実行委員会特別賞
企業名:社会福祉法人実誠会 障害者支援施設なるみ園
所在地:茨城県那珂市飯田2529−1
業種 :障がい者支援施設就労事業所
社員数:57
設立 :2001年
受賞理由:
1)100名近い障がい者に寄り添う理事長の姿勢、就労している障がい者の働きぶりは見事である。
2)障がい者の親が他界した後も、障がい者が生活していけるように居住施設の充実等に積極的に取り組んでいる。
3)耕作放棄地の開拓も含め1万坪以上の農地での農産品の生産・加工した食品、さらにはそれを使ったレストランの運営を行っている。
4)理事長がお世話になった方のお子様が障がい者であったことが、本事業を始めたきっかけである。
実行委員会特別賞
企業名:社会福祉法人太陽会
所在地:鹿児島県鹿児島市吉野町5066番地
業種 :
障がい者地域生活支援事業
障がい者入所支援施設事業
障がい者ワークサポート事業
社員数:90
設立 :1973年
受賞理由:
1)B型就労施設として、障がい者の個性にあわせて、レストラン・木工加工所・縫製工場、訪問介護等多様な事業・就労機会を提供している。
2)当初は竹細工の下請仕事が中心であったが、現在は大半が自主事業で運営している。
3)B型就労施設で障がい者の支援を行うだけでなく、障がい者を職員として雇用し、健常者と同様の賃金を支払っている。
4)創業者は、特殊学校の教員出身であり、障がい者に対する思い強いが、その意思は、後継者に引き継がれている。
詳細について
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞は、
企業が本当に大切にすべき
①従業員とその家族
②外注先・仕入れ先
③顧客
④地域社会
⑤株主
の5人をはじめ、人を大切にし、人の幸せを実現する行動を継続して実践している会社の中から、その取組が特に優良な企業を表彰し、他の企業の範となることを目的として、平成22年度から実施しています。
第1回より、経済産業大臣賞(企業規模を問わず特に優秀と認められる会社)、中小企業庁長官賞(中小規模で特に優秀と認められる会社)、実行委員長賞及び審査委員会特別賞、第5回からは厚生労働大臣賞(障害者、高齢者、女性などの活躍推進や長時間労働の削減などの総合的な雇用管理に取り組んでいると認められる会社)を授与しています。
第7回となる本年度は、平成28年7月11日から平成28年11月14日の期間に募集を行い、85件のご応募をいただき、審査委員会による厳正なる審査のもと17団体の受賞者が決定しました。
なお、下記のとおり、3月21日(火)に表彰式を開催し、受賞者には表彰状と記念品の楯を贈呈します。
第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞(表彰式)
日時:2017年3月21日(火)13時00分~17時00分
会場:法政大学 市ヶ谷キャンパス 外濠校舎6階 さったホール
東京都千代田区富士見2-17-1 【JR・地下鉄 市ヶ谷駅・飯田橋駅より徒歩10分】
参加申込み:こちらのページからお申込みください。